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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク

下ろした髪と眼鏡で彼らの目は完全に隠れ、スーツに麻縄という異様な姿で彼らはカメラの前に立つ。
縄を掛けながら瑛二さんも交えて議論して、気を付けの姿勢のまま螺旋状に巻くというスタイルが採用され、内心浮かれ気味。
緊縛男子というワードがなかなかいいかもと思えてきた。
撮影中の手遊びに飾り縄を練習していたら、思い掛けずアイマスク風のものが出来上がって目に当ててみる。
縄だから向こうは見えてしまうけど、これはこれでいいなと辺りを見回したら、カメラから目を離した瑛二さんと視線がぶつかった。

「ルカ」
「はい!遊んでない!ただの練習!」

ばっと目からそれを離して主張したけど「怒ってねえよ」と言われて首を傾げる。

「それもう一個作ってくれ。ミツは俺が解くから」
「え?」
「次のやつ用。アイマスクよりそっちがいい」

今撮ってる螺旋状もそうだったけど、瑛二さんは衝動的なインスピレーションにとても忠実。

「……10分くらい貰える?」
「十分。解いて着替えてちょうどいい」

互いに宣言通りの時間で次のカットへの準備を済ませると、今度は練習した首と手首を繋ぐ縛り方を満くんで実践する。
上半身裸でジーンズというありきたりな格好も、縄が入るだけで随分と様相が変化した。
巻縄の縄尻を調整していると感心したような「へーぇ」という声が降ってきて顔を上げる。

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