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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク
「成長著しいね、遥香ちゃん」
「ありがとう。最初に満くん縛らせて貰った時がついこないだみたい」
「凄いと思うよ。あんなにウブだったのにこの前なんて」
「それ以上言ったら猿轡するからね」
「わーお。ごめんごめん、言わない」
はは、と笑顔を零して満くんが脚を動かすとくしゃりと音がした。
「満くん、なんかポケット入ってる?」
「ん?あー……右前かな?」
「取ろうか?気になるでしょ」
「あ、うん、でも」
ん?と思いながら右ポケットに手を入れるとビニルの感触。
引っ張り上げると、コンドームの空き袋だった。
「……わーお」
満くんの口調を真似して感嘆の声をわざとらしく上げる。
稜くんと結衣子さんの視線を感じてそちらに振ると、ふたりとも呆れた顔を見せた。
「何、満いつの間に使ったの?」
「いやあ、昼いたモデルの女優さんが物欲しそうにしてたからね」
「ええー?使ったって今日のこと?……まさか稜くんも持ってるの?」
「同意の上ならいいぞって瑛二さんに最初に無理矢理渡されたんだよ。俺は使ってないけど」
「うわ、稜ちゃんいい子ぶってずりぃ!絡んだ人に色目使われてたじゃん!」
「そこでヤるほど節操なくないよ。一緒にするな」
「瑛二くんも大概ね」
はあ、と結衣子さんが溜息を吐いて稜くんを撮影場所へ連れて行った。
空き袋を握り締め、私も苦笑いする満くんを引いて稜くんの隣に座って貰う。
作った目隠しを装着して完成。確かにふたりいると背徳感が増した。
「ユイ、この後ルカ撮るから準備よろしく」
「着付けね。いらっしゃい遥香ちゃん」
彼女の後を追って廊下に出る。既に東の空から夜が迫っていた。