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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ
ああ、やっぱり言われた。話に急に入ってきたのはそっちなのに。
「解いたらちょっと休憩しよう、ルカちゃん」
「うん。ありがとう」
なんて気遣い屋さんなんだろう。私の2個下だと聞いて頭が下がる思いがする。
最後の後手の結び目を解いて、縒れた所を綺麗に戻していった。
カナちゃんがくるりとこちらを向く。
「案外ね」
「ん?」
こそっとカナちゃんが呟いたから、私は彼女に近付いた。
「瑛二さんルカちゃんのこと気に掛けてると思うよ。人に期待するタイプの人じゃないけど、厳しく言う時は大体そう」
「……そう?」
「うん。手先器用だって先週言ってた。技術身につけたら面白くなるかもって」
そう言ってにこーっと笑い、「がんばって」と付け足す。
「ありがとう……」
「まあ大変かもだけど。独特だから」
「ああ、そう言えば先週も言ってたねそんなこと。どういう意味?」
「そのまんま。ポリシーとか主義かな?縛っても挿れないことは多いし絶対主従関係は結ばないし、写真撮ってばっかり」
「え?ご主人様じゃないの?」
「ご主人様?」
「カナちゃんの。だってパートナーって」
はて?と言いたげに首を傾げたカナちゃんは、その後ぷっと吹き出して肩を震わせ始めた。
「あははっ!違う違うナイナイ。まあ個人依頼の出張緊縛とかする時はご主人様とか呼ばれたりするかもしれないけどね。カナは瑛二さんをそうは呼べないなぁ」
「そういう……もの?」
「うん。カナはお店所属の野良だし主従結ぶ気もないし。パートナーって言い方は瑛二さんの癖みたいなものかな?」
「癖」
「うん。縛る相手、特に被写体は基本パートナーって言ってる。もしプレイに発展しても奴隷扱いはしない。対等なの」
「へぇ……なんだ。てっきりみんなご主人様と奴隷みたいなのばかりなのかと思ってた……」
「そういうのを好む人は勿論いるよ。ルカちゃんの彼はどっちだろうね?」
「よく……わかんないなぁ。ついこないだ知ったばっかなんだ。緊縛されたいってのも」
「そっか。じゃあずっと秘めていたんだね。勇気が必要だったと思うよ。ルカちゃんに言うの」