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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ
カナちゃんが一瞬とても大人びた表情をして微笑んだ。
そうか、私は面白半分に柊平の願望を暴いてしまったけれど、柊平は、もしかしたら。思い詰めていたかもしれないんだ。
自分の性的な嗜好を告白するなんてこと、例え彼女が相手だとしても受け入れられなかったら……?
たまたま私がその気になったから良かったものの、本当はとても怖い想いをさせてしまったんだろうか……。
「どう転ぶかわかんないけど、彼にとっては良かったんじゃなぁい?」
「だといいな……。あ、カナちゃんは――」
「おい!いつまで喋ってんだ?時間もうすぐ終わりだぞ」
「はぁい。やろうか、ルカちゃん」
……先週瑛二さんが言ったことの意味、わかる?って聞こうとしたのに、遮られてしまった。
「……うん」
「あ、カナから一個アドバイスね。身体触るの怖いかもしれないけど、カナだから大丈夫だよ?」
「え?カナちゃんだからって……」
「女の子同士だし、一応慣れてるしタフだし。怖がらないでしっかりがっつり触っていいよ。その方がカナは安心する」
カナちゃんは私に背を向けて、頭だけ振り返る。
「おっぱい触っても怒らないし?」
そう言って悪戯っ子な笑みを浮かべて。
私は数瞬呆気にとられて吹き出した。そして、
「……それは安心。じゃあちょっと、いい?」
「んー?」
カナちゃんを背後からふんわり抱き締めてみた。わたあめみたいな甘い香りがした。
「!」
カナちゃんの身体がぴくりと跳ねる。だけどすぐに力が抜けて、私に身体を預けてくれた。
瑛二さんの視線も感じる。だけど気にしない振りをした。
「……うん、ありがと。大丈夫。やってみる」
ひとつ深呼吸。差し出された腕を取って縛る。テンションを確かめて腕に回して、抱くように縄を通す。
集中。指先に全部の神経があるみたいに。甘いと思ったらすぐにやり直す。
縄を引く時は息まで止めた。その方が加減がわかるような気がして。
そうして最後の結び目を作った時には、背中にしっとりと汗をかいていた。