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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク
「信じらんない……」
「強制的に口と鼻を塞ぐこともあるし、女王様なら顔面騎乗とかですることもあるよ」
「なんでそんな一瞬でスイッチ入るの……?逆らえる気全然しなかった」
「それがソリッドの強みかもね。しようと思えば割といつでも切り替わる。でも君もなかなかの入り方じゃない?」
「知らないよ……」
胸を抑えて大きな溜息を吐くと、やっと意識が対岸のふたりに向く。
ふたり分の視線が私達を捉え、瑛二さんはスマホまで構えていてピコンと音が鳴った。動画を撮っていたらしい。
「……稜、お前鬼畜無理とか嘘つくな」
「嘘じゃないよ。これ鬼畜?っていうか動画」
「素質あるぞ。謙遜すんな」
「見ててドキドキしちゃったわ。その動画私にも送っておいて」
「結衣子さんまで」
「まあいい。まずルカ、お前な。で、結衣子」
直前まで笑っていた彼女の目の色が、不意に呼ばれた名前に怪訝そうに変わる。
「なぁに?」
「やっぱお前撮りたくなった」
熱っぽい視線を惜しげもなく、瑛二さんは彼女に注ぐ。
その視線を眉を顰めながら受け止めて、彼女は彼を睥睨する。
「……世界で一番綺麗に」
「する」
言葉を被せて瑛二さんは宣言した。
「……必ず」
追い打ちを掛けて粘度のある沈黙が流れたのは数秒。結衣子さんは振り切るように立ち上がった。
「結衣子」
「撮影前にシャワーくらい浴びさせなさい、瑛二」
それだけ言い捨てて、ふい、と身を翻し彼女は部屋を出ていった。
瑛二さんは嘆息して笑みを浮かべ、稜くんは肩を竦める。
「女王様の準備の間に始めておこうか」
私はこれから起きることへの不安と緊張に加えて、僅かに胸が高鳴るのを感じ、頷いた。