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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク

充足感に満ちた声で瑛二さんがモニタを見ながら言って、稜くんが手を離しついでに結衣子さんが唇に咥えていた蝶を摘む。

「よかったわ。これで終わり?」
「いや、もう少し」
「欲深いのね。そんな気はしてたけど」

わかりきっていたと言いたげに彼女が言うと、瑛二さんは一度縄を解き始めた。

「手伝いいる?」
「いや、いいよ。必要になったら呼ぶからルカとそこにいてくれれば」
「わかった。これもう使わないね?」
「使わない」

捲った袖を戻しながら、稜くんが蝶を連れてふたりから離れ私の隣に腰を下ろす。
このまま似たモデルさんで撮った分、撮り直す気かな。
このデジカメのバッテリーは夕方に交換してからそんなに使ってないから問題ないはず、と、動画にして床に置いた。

「次はどんな形にするの?」
「諸手上げ。午前に撮ったけど気に入らない」
「そう。妥協しないのね」
「無理な相談だ。続けて出来るなら腕出して」

何も言わず微笑んですっと出された彼女の両腕に瑛二さんが触れる。
二の腕からゆっくりと下りて、手首をさすり、指の一本一本を丁寧に撫でた辺りで結衣子さんは怪訝な表情を浮かべた。
瑛二さんは気にも留めず、掌を丹念になぞってから縄を掛け始める。
彼が誰かを縛るのは今まで何度も見てきた。彼女が縛られるのもこれで3回目。なのにどことなく胸騒ぎがする。
数十分のプレイで持て余した、と私の身体にまで手を掛けた彼だ。
一日掛けたプレイで満足してない獣が本気で抱ける相手と相対して、冷静でいられるとはとても思えない。

結衣子さんの手首が後頭部に回り、胸と腋が晒された。
瑛二さんの視線が何度も彼女を舐めて縄を回す以外にも彼女の身体に触れていく。
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