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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク
微笑を浮かべていた口元が引き結ばれて、堪えているのは自身の羞恥心か、快感か。
一挙手一投足を見ているこの緊縛師が、その程度の変化を見逃さない訳がない。
「っく……」
「なんだ、撮影はこれからだ。我慢しろ」
「……に、よ」
だけど女王は尚も強気。自分の存在意義も、価値も、最終的には自身の欲望が彼に受け入れられる事も彼女は知っている。
7mを一本使い切り、瑛二さんは結衣子さんの前に膝をついて顎を掴む。
「感じ始めると本当にイイ顔するねぇお前は。使わないからちょっと撮らせろ」
「……勝手になさい」
「そうするよ」
言うが早いかカメラを構え彼女の顔を捉えた。
「顔背けるな。綺麗だよ」
「知ってるわよそんなこと」
「そうしてやったのは俺だけどな」
「人には謙虚さないって言うくせ、っんぁっ!」
鎖骨をひと撫で。それだけで、結衣子さんは高く喘ぐ。
「いーねぇ。前にもこうやって撮りながら抱いたことあったな。まあそん時はオーディエンスはいなかったが」
瑛二さんがニヤついた目でちら、と私達をわざとらしく見てから、結衣子さんに向き直って嗤い
「もっと綺麗にしてやる」
海の底にでも沈んでいくように、深く深く口付けた。
私達がいることを認識しながら、どうして見せようとするのか理解出来なかった。
稜くんが私に見せた時のことはまだわかる。明確な意図があったし彼のそれだって衝動的なものではない。
でもこれはプレイなんかじゃない。そんなの、何度も見てきたからわかる。
移動の手間すら惜しんでる。
前は私達から隠したのに、一体、なぜ。
このままいていいのか不安になって隣を見たけど、稜くんは無表情のまま彼らの行為に真剣に見入っていた。