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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク
ぎらり、と彼の瞳が光って見えたと思った刹那、その手に口を塞がれた。
衝撃で閉じた目、恐る恐る開いたら、至近距離に彼の顔が迫り、羽根を載せられたさっきより強力に凄まれる。
「……黙れ」
その静かに滾る気迫にひゅっと息を呑んだ。
とは言え、とてもじゃないけど黙れる気はしない。こんな事を私にしちゃった時点で認めたようなものだ。
屈しないと思いを込め、同じ高さの目線で稜くんを見据える。
だけど次第に彼の抱えるつらさも考えてしまって、眉根が寄った。
「……やめてよ。ほんと……違うから。そんな顔されるの心外だ」
消え入りそうな声と共に力なく私から手が離れて、稜くんはその手を額に当てる。
「無理があるよ。わかってんでしょ」
「違うって。そんなんじゃない」
「途中まででもよく見てられたね。凄いと思う」
「違うから。凄くもなんともない。あんなのただの」
「ライブAVって?」
言葉尻を捉えて目を見ようと彼の腕を掴んだ。頑なに力が込められててびくともしない。
「……思えないよね」
「やめろって」
「いくら稜くんがドライだろうと、そこは関係ないよね。ぐっちゃぐちゃなんでしょ本当は」
「っ煩いな」
「やっ――!」
掴んでた腕は振り払われ逆に掴まれて、驚きと勢いのあまり後ろにぐらりと倒れてしまった。
両腕を床に縫い留められ簡単に組み伏せられる。
「黙れって言ったはずだ」
そのくらい、稜くんにも今余裕がない。
無理もない。きっかけは瑛二さんと結衣子さんで、煽ったのは私。
彼の中は今、私と一切関係のないもので満たされている。
「……あのふたりを見てるの、私も苦しかった。海の中、潜りながらしてるみたいで」
「まだ喋り続ける気?懲りないね」
「結衣子さんと稜くんとのそれには、そんなの全然感じなかったのに」
「だからなんだよ」
「私たちもしようか」