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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク

彼の手が両手首を頭上であっさり纏め上げ結んだ。

「ほんと、羨ましい」

荒かった先程と一変、穏やかな口振りはいつもの彼の通り。でも髪の隙間から垣間見えた、泣き出しそうな顔。

「……稜くん」

呼び掛けた時には既にそれはなく、縄は窓の取っ手に一度結ばれて、縄尻の行方を見ていたら

「っ!」

流れるように左膝を取られ、易々とそこに縄が掛かり、太腿があっという間に露出する。
形とか綺麗にするとか関係ない。稜くんのポリシーは、『乱れさせる』こと。
さっき吊るされた形をそのまま床にした格好で、私の身体は抵抗する術を殆ど失った。

「……これ、だけ?」
「今の君にはこれで十分でしょ。後は」

じっと私を見下ろしながらナイフでも突き付けるように喉元に当てられた指。つぅっと下に下りて、ブラウスのボタンをぷちぷちと外し素肌が暴かれ

「君が乱れるのを好きに楽しむよ」

凶暴に嗤う彼の手によってブラジャーがずり上げられた。
スカートもたくし上げられて、暫く手放していたはずの熱が呆気なく舞い戻る。

「はっ……」
「ね。十分」

嘲笑を孕んだ息を吐き出して、またグラスを手にひと口含んだ。
肴にでもされている気分だ。それ以上何も触れられないまま、晒された胸に、開いた脚の付根に視線が注がれる。
ただそれだけなのに次第にそこが熱くなっていくなんて。
羞恥と悔しさに歯噛みする私を稜くんは、捕らえた獲物が虫の息になるのを待っているよう。たっぷりと見下ろしてから、掌を私の頰に当てる。

「撮影中、結構感じてた?」

顎を撫でて、指先は首元へ。
手の甲側は夜風に当たってたせいかひんやりと冷えていて、ぞわりと鳥肌と緊張が走った。
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