この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク

次いで語られ始めたのは、意外な感情。
まさか、と、戸惑いが拡がって心臓が跳ねる。

「いつもだったら、相手の想いが私に向きそうだと感じたらすぐに切るの。傷付けちゃうのは目に見えてるから。だけど彼は出来なかった。仕事上必要なのは勿論だったけど、彼に触れられなくなるなんて考えたら胸が張り裂けそうでね」
「なんですか……それって」
「自分でも驚いたわ。こんなに子供みたいな所があったんだって。膝の上でお昼寝なんて瑛二にもしたことなかったのに」
「なんで……それなら瑛二さんとちゃんと」
「話さなきゃって思ったわ。でも私はこの関係を始める前に一度、瑛二を断ち切ることを諦めてしまった。一緒に生きられないの、わかって……いるのに……」

苦しそうに歪んだ表情に、彼女が彼女なりに抱えた葛藤が見て取れる。
年月を重ねるごとに想いも愛着も深くなっているのなら、自身の変化すら口に出すのを躊躇う程恐怖を覚えるのも無理のない話なのかもしれない。
湧いていた怒りのやり場がなくなって息を呑み、手を握り締めた。

「本当はね、稜くんとの関係を始める時に瑛二とは終わりにしようと考えていたの。お店も始まるしちょうどいいかと思って。でも、出来なかった。『離れられると思ってるのか』って問われて、何も言えなくなった。そこから3年以上、数か月空くことはあっても、彼の衝動を前にしたら……拒絶なんてとても出来なかった」

汗かと見紛う結衣子さんの頰を伝ったひと滴。

「変わりたい、変えなきゃって思うの。だけど自分の力じゃどうしても突き放せなかった。何度他の人に抱かれても身体も精神も全部瑛二を覚えてるのよ。いっそ捨ててくれれば……って10年の内に何度思ったかわからないわ。でも……瑛二は変わらない」

次第に両目から溢れて、彼女はそれでも口元に笑みを讃えようとする。

「情けないわ。本当は偉そうなこと何も言えない。なんとかしなきゃって取り繕う度に、別の場所が綻んで結局、雁字搦めになって、一歩踏み出す、こと、すら……」

/320ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ