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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ

「ちょ……そんな人を犬みたいに……」
「アメとムチだ」
「なんなのよもうー!」
「ほら、目ぇ離すな」
「じゃあ話すな!」

人を縛りながら笑ったり怒ったりする世界ってよくわからないけど
確かに存在しているらしい。面白おかしいことに。

「あ、ルカ」
「なんですかー」
「来週来るんだよな?」

手首の縄を解き終えて瑛二さんを向いた。

「ええまあ、そのつもり」
「カナ来れないから男用意しとくわ」
「え?来れないの?ってか男?」
「ああ。お前男縛るんだろ?慣れとくといい」
「え、だったら彼氏連れて……」
「それはやめとけ。多分つらくなる」
「つらいって……何それ?」
「あとその後の予定も入れない方がいい」
「空けとけってこと?それはいいけど何なの勝手に色々……」
「考えがあんだよ。取り敢えずこのご主人サマに従っとけ」
「はぁーー?誰がご主人サマぁ?」
「呼びたきゃ呼んでいいぞ。拒否はしない」

悪魔みたいな笑い方で、瑛二さんは上から私を見下ろす。
さっきの話、しっかり聞いていたみたいだ。
カナちゃんはくすくすと口を抑えながら笑ってて、私は

「……絶対呼ばない」

睨もうとしたけど、駄目だった。笑ってしまった。
何度も縄を引いて手がじんとする。
毎日ご飯食べてる手が。毎日パソコン叩いてる手が。今日は人を縛ってる。

人生何があるかわからない。

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