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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク

スクロールした先にあの青い蝶が目に入って画像を開いた。手指に施された飾り縄の上に止まるそれには生きた感じがなく、気に入らないと言った理由がわかる気がする。
そのまま表示させていくと、やがてその彼女の顔を見ることが出来た。顔のパーツの感じや髪型なんかが、確かにどことなく結衣子さんを思わせる。
だけど、諸手上げの形で緊縛された彼女と結衣子さんとの違いは明白。
『プレイ』と『抱く』が違うように、『仕事』と『信頼』の隔たりがそこにあった。

「そいつの、多分使わない」

こと、とマグカップが私の脇に置かれ、瑛二さんがコーヒーを啜りながら隣に座る。

「……だろうね」

稜くんが言ってた通りだな、と、それ以上彼女を見るのを辞めて先に進めた。
囚われの蝶を模したカナちゃんは綺麗だし、稜くんと満くんは凄く背徳的。
だけどもう一度スクロールしたら、長襦袢姿の私が現れて手が止まる。

「なんだ、見ないのか?」
「見、たいような、見たくないような……」
「心配しなくても綺麗だぞ。つい何枚か顔入り撮ってるけど省くから」
「そういうことじゃなくてね……」

溜息混じりに言ってコーヒーをひと口含み、意を決して1枚目を開いた。

「う、わぁ……」

赤い生地の上から腕にぴたりと揃って巻かれた麻縄。自分の腕だっけ、と思わず見る。
次いで胸縄。張り出したそれと、袂から覗く白い肌。それから吊るされた手首。と、戸惑いを浮かべる私の顔。

「可愛いもんだ」
「っ知らない」

歯噛みしながらも先を表示する。脚が吊るされた全身は、つい目を細めて見てしまった。
稜くんに目と口を塞がれた構図はまるで完全に主従関係にでもあるようだし、首に当てられたその手は首を締めているみたいだし、半開きの口は喘いでいそうなくらい淫靡。
だけどその次、稜くんが離れた後に目を薄く開けた私の顔は、自分だと思えないくらい色と艶に溢れていた。

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