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女王のレッスン
第7章 ■最後のレッスン
そう言って彼女は、画面の中の自分を愛おしそうに見る。
ずっと自分と向き合い続けてきた彼女は、きっとそうやって瑛二さんに自身の雌を肯定されてきたから
今の彼女は、ここにいる。
とても綺麗になって。
「持ってきてくれてありがとうね。よくわかった」
突き放し難くなる訳だ。
「瑛二さんの覚悟が?」
「ええ。写真集の話を聞いた時に不審には思ってたんだけど、撮影の前に離れることを言われたの。それなら成果を作品として見せてって」
「それが、これ?」
「みたいね。飛び出したがってるの、見えるよう」
溜息混じりに、諦めたように、彼女はもう一度画面に視線を落とす。
「だからですか?」
「何が?」
「私に、瑛二さんに抱かれたかったら好きにしてって」
「ええ。可能性としてあり得ると思ったから。どう?」
「正直まだそんな……離れるって言われたことすら現実味薄いくらいで」
「まあそうよね。突飛なこと言ったって一応自覚はしてるわ。でももしそういう衝動が訪れた時に私の存在がちらついて出来なかったら勿体ないから」
そう言って彼女は受け取った内容に納得したのか、PCを操作して画像を一式保存した。
一瞬見えたそのフォルダには画像が保存してありそうなものがいくつもある。
これまでも一番間近で、一番数多く、撮られてきたことが窺えて、胸が詰まる思いがした。
どんなに想像を巡らせても、私は好きな人と一緒にいたいと思うし、愛する人と愛し合いたいと思うのに。
「結衣子さんがもしお店を持ってなかったとしたら、瑛二さんについていきますか?」
瑛二さんに聞いてもはぐらかされるなら、彼女は、と問い掛ける。
「……難しい質問ね。今の私には不可欠だから」
「そうですよね……」
「でも、本当に何もなかったとしたら、一緒にいることを望んだかもしれない」
少し身じろいで、結衣子さんは僅かに目を伏せた。
「一緒に生きられないって、前に……」
「そうね」
「どうして?」
「表面的には真逆だけどね、行動規範が似ているのよ私達。何かあったら共倒れしちゃうわ。本能で駄目だとわかるのに、本能のままに縛り合ってる。お互いに」
続ける言葉に惑うと彼女が見透かしたのかふふ、と笑いを零す。