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女王のレッスン
第7章 ■最後のレッスン
程なくして瑛二さんが講習のために店を訪れ、大した雑談もないままステージに腰を下ろす。
昨日が休みだったせいか開店から珍しくお客さんもそれなりに来て、お店の人たちも接客に追われ、ふたりきり。
縄のチェックを一緒にしながら、「瑛二さん」と呼び掛けた。
「渡したよ。データ」
「ああ、ありがとう。なんか言ってたか?」
「『よくわかった』って」
「そうか。十分な回答だな」
不敵な笑みを唇に浮かべて瑛二さんは私の全身、頭から足先までじろりと見る。
「お前今日パンツか、ちょうどいいから吊りやるか」
「え?吊りってこないだの撮影みたいな?」
「いや、ユイで緊縛ショーやった時のやつ」
言われて絵面を思い出して目を見開いた。確かあれは、完全に浮いてる水平吊り。
「え、あれって……」
「あとひと月だし都合もいい。取り敢えず縛ってやるから自分で味わってみろ」
これまで殆ど床の上でしかやっていなかったことが、今度は空中。
ごくり、と息を飲んだ。
だってあれは、本当に相手を信頼してないと出来ないこと。
「まあ、無理にとは言わない。緊縛は」
「同意が原則、でしょ」
ドキドキするけど、こっちにだって時間がないのは一緒。
「同意する」
教われることなら、教わっておきたい。
この身体を差し出してでも。
「上等だ」
満足そうに言って瑛二さんは立ち上がった。