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女王のレッスン
第7章 ■最後のレッスン
ひと通りされた説明の端々から、彼が抱く受け手への思い遣りと安全への意識を改めて感じる。
いつもより念入りにされた体調チェックと、セーフワードの確認。そこまでして漸く上半身に縄が掛かっていった。
心構えも信頼もあるから心配はしていないけど、身体はどこか勝手に期待していく。
いつもより念入りに、熱を持って、この緊縛師が私を縛っていくから。
「胸縄と腰縄を掛けたら吊り縄を掛ける。やり方は今度な。結び目を固定したら縄尻を吊り用のカラビナに引っ掛けてまた固定」
瑛二さんが真上に下がるカラビナのひとつに手を伸ばして縄を掛けた。また背面で縄が擦れる音がする。多分固定しているんだろう。
「この時まだ吊り縄に体重は掛けさせない。先に脚を縛ってから」
左脚の膝の上に縄が結ばれる。
「膝のはこのくらい余裕を持たすこと。理由わかるか?」
「曲げさせた時盛り上がるから?」
「優秀な弟子で嬉しいね。さて、体勢変わるぞ。片脚上げるから胸縄に体重掛けてみろ」
「え……どうやって……」
「補助するよ。俺の縄を信じればいい」
そう言うと瑛二さんは私の背中と肩を挟むように手を掛け、床と平行になるようにぐっと押した。
「わっ!」
「力抜け。縄に身体を預ける感じ」
痛むかと思って一瞬目を固く閉じたけどそんなことはなく、ぎっ、と締まる感覚が少しあった程度。
「そのままな。今度は脚上げる」
「あっ、え……」
取られた左脚が宙に浮いて、よろめきそうになった身体を瑛二さんはすぐに支える。
バランスを取り戻したところで脚の縄も上に掛けられたらしい。カラビナがカチリと鳴った。
視界は床。もう何されても殆どわからない。
「で、もう片脚。結んだら浮かすぞ」
「うん……」
右脚にも結ばれた縄。わかっていても、鼓動が大きくなる。
思わず吐いた熱い息。吐ききった瞬間、全身が宙に浮いた。