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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ

「何でもない便利な奴っておかしいでしょ。誤解されちゃうじゃん」
「何でも……って?」
「SとかMとか男とか女とかなんでもウェルカムっていう感じ」

男とか女とかなんでもって、つまり

「バイ……さん?」
「まあそういうこと。でもってSとかMとかでもない。相手に合わせて色々適応するタイプ」
「便利なんだよ。撮影とか絡みとかに使いやすくて」
「もう瑛二さん」

思わず口をぽかんと開けて彼をまじまじと見てしまった。
言われてみればとても自然体。強く性別を感じる印象もない。

「オールラウンダー、みたいな?」
「そうそう。その方が近いね」
「時間だ。始めるぞ」

呆れるほどのマイペースで瑛二さんはステージの方へ向かう。
取り残された私達は顔を見合わせた。多分同じような顔をしてたと思う。
クスクスと笑いを漏らした満さんは、さりげなく私の腰に手を回しステージの方へ促した。

「今日のことは聞いてる?」
「男性を縛れとだけ」
「そっか。わかった」

……わかった?

「……何がですか?」
「うん、ただの確認。気にしないで」

満さんは静かに微笑んでステージ前に座った。
みんな曖昧で不満が溜まってしまいそうだ。瑛二さんも満さんも何を考えているんだろう。
いつもの調子で瑛二さんが説明を始める。今日の参加者は3組。カナちゃんはいない。
相手は初めて出会ったオールラウンダーな男性。不安が頭を駆け抜けた。

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