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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ
「どうだ?」
「どうって……」
縛る前、私は満さんの腕や胸をぺたぺたと触らされていた。
「……いい筋肉?」
「ありがとう。鍛えてる」
「状態を聞いてんだよ。肩が凝ってたりしないかとか、痛めてる場所がないかとか」
「ならそう言ってよ!」
口を尖らせて私は瑛二さんに文句をつけた。
「肩は……ちょっと凝ってますかね。肩甲骨も硬そう」
「あ、いいね当たり」
「カナは縛られる前ストレッチしたりもしてるからいいけど、普通の相手だとそれが出来ないからちゃんと見ておく。縛る前に無理ない状態か判断するのも縛る側の責任」
「なるほど……」
「通す場所の当たりがついたら始めるといい」
瑛二さんはそう言うと私達から離れ、他のカップルの元へ向かう。
「いけそう?」
「はい。よろしくお願いします」
私は小さく頭を下げて、後手に縛り始めた。
カナちゃんと比較したら手首に掛けられる縄の幅が全然ない。使う長さだって違う。
腕に掛ける位置もそう。筋肉がしっかりあると場所を少し間違えただけでずれてしまう。
「難しい?」
「うーん……腕がやっぱちょっと……」
「袖捲っていいよ。掛けやすくなるかも」
甘えて袖を肩まで捲った。腕の形がはっきりと見える。
「筋肉の境目の所注意しながら」
「詳しいんですね満さん」
「まあね。オールラウンダーだから?」
ふふっと笑う彼からは、ほんの少しだけ自嘲してる雰囲気を感じた。
腕に掛けてみる。うまくいきそうだ。
「痛くないですか?」
「大丈夫」
「いつそういう自分の性質に気付いたんですか?」
2周目を通してテンションを見ながら聞く。
「そうだねぇ……俺男にも女にもどっちにもモテたんだよね。学生の時から」
「あ、……えぇ?」
「疑ってる?」
「いえ、女の子からはモテそうだけど……」
「ははっ。苦労したことは多分ないかな」
「どっちからもモテるとオールラウンダーになるもの?」
「それは違うね。俺がちょっと欲張りだっただけ。欲してくれるならどっちでもって感じ?」
襟留め、縄を引いて、それから最後の縄尻の処理。