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女王のレッスン
第7章 ■最後のレッスン


「……おかしいな、女王様になるはずだったのに」

吐き出した息も目も熱い。

「俺も昔ご主人様ってやつになろうとしたことがある」
「そうなの?」
「出来なかったけどな。でも挑戦しようとしたことは間違いじゃなかったって今も思う。合わなかっただけだ」

プレイでならそれっぽいことをしていたのに、と瑛二さんを見上げた。
首を傾げるとふ、と笑んだけど、それは瞬きひとつで真剣な表情に変わる。

「今も俺はお前に女王様になれなんて思わない。ユイだってたまたまハマったに過ぎない。でも女王ってそうじゃないんだよ」

静かに落とされていく言葉にハッとして、口を引き結んだ。

「俺は、女って生き物は女である以上全ての人間が女王になれると思ってる。プレイとしてじゃない、自分のだ。ただでさえ多面的な生き物で、色んな感情に振り回される。寂しいから、自信ないから、これを逃したら次がないかも。本心は二の次で妥協して、なんて幸せになれる訳がない。覚悟して本気で向き合えばその程度の不安全部飼い慣らせるんだよ。その為には、自分が自分の女王になるしかない」

滔々と私に言い聞かせるように、瑛二さんは自身の想いを表していく。
周囲の雑音や自分の雑念に惑わされない為の教示。
珍しく饒舌に語られた彼の言葉は、驚くほどストンと私の胸に収まった。

「……うん」

女王様にはなれなくてもいい。それは私が出した結論。
正しいかはわからないし、この先変わるかもしれない。
不安も恐怖も沢山あるけれど、飼い慣らせるならやるしかない。

「男の人は?王様になれないの?」
「男は駄目だねぇ。すぐ裸の王様になる」
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