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女王のレッスン
第7章 ■最後のレッスン
答えにくすくす笑うと、瑛二さんは「この通りな」と肩を竦めて笑って見せた。
そうやって今も彼の頭の中で何度も繰り返されているであろう問い、思考、それから答え。
ひとりになったら、きっともっと加速する。だけどその果てでまた会える。帰ってこない訳がない。
案外寂しい人だから。ならば私は、彼の帰りを待つひとりでいたい。
「結衣子さんをちゃんと解放する?」
「俺のポリシーじゃないけどな」
「ならこの家、瑛二さんがいない間管理しててあげるよ。結衣子さんに頼む訳にもいかないでしょ」
私の言葉に、息を吸い込む音がした。
嘆息して、何か考え込むように眉間に深く寄せた皺。
暫く無言を貫いた後、抱いたままの肩をまたぐっと強く引き寄せられた。
「お前本当……いつか損するぞ」
「それが私の決めたことならいいよ」
「……正直助かる。頼んでいいか?」
「うん。瑛二さんの唯一のアシスタントだから」
得意げに微笑めば、降ってくる、額へのキス。
再び微かに漂い始めた情欲に、身の危険を感じて慌てて口を開く。
「いつ会うの?結衣子さんと」
「来週の日曜」
「ふうん。で、火曜日の夜出発?わざとらしー」
「いいんだよそれで」
「なら私、見送り来る」
「ああ?店行くんじゃないのか」
「スタッフじゃないし、それに瑛二さんなんだかんだ誰かいないと寂しいでしょ」
苦し紛れに言った言葉に、瑛二さんの目がぴくりと動いた。
「……わかったようなこと言ってんじゃねえよ」
やっぱりそうなのかな、と思った時にはもう、身体がベッドに沈まされていた。