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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ
「立てる?」
両腕を支えられながら立ち上がる。足元のふわふわもあって覚束ない。
抱えられるようにして歩き、黒い扉の中に入って寝かされた。
誰もいない。ふたりきり。
「焦点合ってきたね。ちょっとは戻ってきたかな?」
「どう、いうこと……?」
「元々俺は遥香ちゃんとプレイしてもいいように呼ばれたんだ。瑛二さん君を縛るつもりでいたから、もし君がその気になっても出来るように」
「その気に……?」
「今、セックスしたくなってない?」
「いま……」
揺り戻された感覚の中で、下半身の疼きを思い出した。
まだ息が熱くて、触られでもしたら、多分無理。だけど。
「……したい、けど、私……」
「うん、彼氏いるね」
「浮気……?」
「でも俺ならここだけにすることも遥香ちゃんの望むようにすることも出来る。だから瑛二さんは俺を呼んだ」
「え……?なん、みつるさ……?えーじさんじゃなく、て……?」
「瑛二さんは優しくなんて抱けないって。本心だと思う。ここで誰かとプレイしたって話も聞かないし」
「なに、それ……」
「そのまま帰れるならそれでもいい。休んでからでもなんでも」
「帰……」
満さんの言葉がぐるぐる頭を回る。
このまま電車に乗るの?会社から帰るみたいに?デートの帰りと同じように?
腕にはうっすら縄の跡。まだ暑いから羽織るものも碌にない。
「お水貰ってくるから、考えてて」
私に微笑んで、満さんは扉の向こうへ行った。
今までセックスしてきたのは全部『彼氏』と呼んでた人しかいない。ふたりきりで、ベッドの上で、そういう状況でしかした事ない。
大体彼氏がいるのに、そんなのって。
浮気……だなんて。
だけどこの欲情を止められるのは……