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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ
「怖くなった?」
「……少し」
「ならそれも自分だって向き合うしかない。それを知ってこの先どう行動するか決めるのは遥香ちゃんだ」
「この先って……」
「特定のパートナーがいる時に他の誰かとするか、しないか」
テーブルの上に手を組んで、満さんは私に身を乗り出した。
「そもそもライトに関係を持てる人間とそうじゃない人間がいる。その上でする人間とそうじゃない人間がいる。それだけなんだ。俺はどちらも前者だったから特定のパートナーを持たない。遥香ちゃんは今回まず前者だってわかった。じゃあ、その後どうする?」
「出来れば……したくないです」
「じゃあ、そうすればいいだけ。罪悪感がないことについては深く考えない方がいいよ。それは生まれようがないからね」
「そういうもの、ですか……」
「うん。安心していいよ。691に来る人はそういう人が多いし、みんな理解もある。遥香ちゃんの周りにいなかったとしても、それを物差しにしちゃ苦しいよ」
ふっ、と笑って目を伏せる満さんはやっぱり少し寂しげで
それでも、優しい物言いは崩さない。
「彼に、会えそう?こんなことしちゃった後で」
「会えると思います。普通に」
「案外そういうもんだったりするんだよね。縛るんでしょ?」
「それは、多分……来週に」
「じゃあ最後の講習後か。あ、瑛二さんが言ってたこと覚えてる?来週については連絡しろって」
「来週?連絡……」
そう言えば、ふわふわとしてた時に何か言われた気がする。
名刺見ろとかなんとか。
「思い出した。連絡します」
「俺も遥香ちゃんのも聞いていい?相談にも上にも乗れるから」
「上には乗らなくていいですよ……」
「ははっ!そう?でも言ってくれたらいつでも」
初めて縛られて、彼氏以外とした初めての人と連絡先を交換して、普通がどんどん遠ざかる。
何の変哲もないOLだったはずなのに、季節の変化のように目まぐるしい。
だけど、そんな日々ももう終わる。
あと、1回で。