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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ
「悪かったな、先週は」
コーヒーを私の前に置いて瑛二さんはまず謝罪した。
「もう少し緊張感残せばよかった。状態をちゃんと把握出来てなかった俺の責任だ」
「そんな、気にしないで下さい。なかなか出来ない経験だったし」
「ならいいんだけど」
「それより、満さんの方が驚いたっていうか……」
お皿に並ぶエクレアをひとつ手にして齧りつく。
「どうだった?」
「どうって……満さんから聞いてないの?」
「誰かとのそれを他人に言う程ミツは一回のセックスに執着ねえよ」
「その気になった時用に、っていうのがびっくりなんだけど」
「あいつはそういう動機なんか気にしない。聞いたろ、節操ない変態なんだよ。自覚あるから性病検査も定期的にやってる」
「そんなこと聞いてないし……」
瑛二さんも手をつけて齧る。一口食べて目を細め、「うめえな」と呟いた。
思わずくすりと笑ってしまう。
「したのか」
「え、ああ、まあ」
「ふーん。浮気者」
「はぁ?仕向けたのはそっちでしょ!?」
「実行したのはお前だろ。ミツは保険に呼んだだけだ。縛るだけじゃ感じない奴は多い。感じても保つ奴はいる。それでも欲しいってなって選択したなら別に間違いじゃない」
「でも世間的には瑛二さんも言った通り浮気じゃない……」
「世間的には、な。それがなんだっていうんだ?」
似たようなことを満さんも言っていた。この人達は私が抱く感覚が通用しない。
私に彼氏がいることを知った上でその場を用意するなんて、なんだか妙な意図を感じてしまって思わずムッとする。
「……目的はなんなの?」
「自分の欲望と向き合ってどうだった?」
「……は?」