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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ


「……っ急に、どうしたの?」

腕を掴まれて覗き込まれた顔から目を背ける。

「……ごめん」
「謝られたってわかんないよ!?」
「本当にごめん!でももう傍にいられない!」

漸く見れた顔には戸惑い。
正視出来ずその腕すら振り払って、彼から距離を取り壁にもたれかかる。
堪えきれず膝を抱えて、そこに顔を埋めた。プレーンな綿のスカートの上に涙が落ちて斑模様になる。
柊平が力なく項垂れたのがわかった。

なんなのこの醜態は。
勝手に彼の欲望を暴いて、興味本位に叶えようとして、中途半端に知識を得て、期待させた挙句勝手に中断。
しかも浮気付き。身勝手にも程がある。

「……誰か好きな人でも出来た?」

声が出せずに首を横に振った。

「俺の嗜好がやっぱ受け入れられないとか?」

また横に振る。
そんなんじゃない。柊平は何も悪くない。
きっとあったはずだ。自分の感情の変化にもっと早く気付けるタイミングが。
なのに全部、見逃してた。

どうして私が泣いてるの。柊平のほうがよっぽど泣きたいはずなのに。
止まらない……――。
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