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女王のレッスン
第1章 ■最初のレッスン
「……まだそこまで来てないかも。多分」
「余裕ー。あっという間だよ20代!アラサー独身の先輩方凄いよ!?」
「そういう真緒はー?」
「今夜の合コンは広告代理店!」
「ほんとよく捕まえてくるねぇ」
「命懸けだからね、マジで」
可愛い顔して真緒はそういう事を平気で言う。
そのパワーは真似出来ない。眩しい感じ。
「前嶋さん」
横から声が掛かってそちらを向いた。
スーツ姿の柊平が同僚数人と、食べ終わったトレイを持って立っていた。
「戸田さん」
「さっきメール送ったんだ。午後イチ見ておいて」
こう言う時は大体、会社メールじゃなくて私用携帯の方だ。
「わかりました」
「よろしく。じゃ」
なんだろうか。
談笑しながら去っていく後ろ姿を見ながら膝に置いたトートを漁る。
「『前嶋さん』」
真緒は面白そうにニヤニヤと言った。
「……会社で知ってるの同じ部署の同期だった人たちだけだから少ないのー。公表もしたくないし」
「いいのかなーぁ?案外狙ってる子いるよー?」
からかう言葉を「はいはい」と受け流してスマホの画面を見た。
柊平からのメッセージが1件。
『見つけたよ。明日ここに行こう』
そのすぐ下には『ハプニングバー』の文字。
URLまではさすがに開けないな、と中に放り込む。
「私達も行こうか」
「そだね」
腕時計をちらりと見て、私達は食堂の椅子から立ち上がった。