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女王のレッスン
第1章 ■最初のレッスン


地図を見てまず立地に驚いた。
確かに都内有数の繁華街ではあるけれど、会社から徒歩でも行けるような場所の地下で、そんな秘め事が行われてるなんて。
しかももっと遅い時間だと思ってたのに、18時なんて普通の時間から緊縛ショー、その後で講習会があるのだという。
それに何より柊平のテンションにも驚いた。テーマパーク行くよりずっと嬉しそう。

「ここみたいだよ遥香ちゃん」

スマホ片手にひと通りの少ない路地に入って少し。
居酒屋やクラブが入る雑居ビル。テナント名のリストの地下2F、『691』という店名が書かれている。
エレベータで降りると、頑丈そうな扉の前にがっしりとした男の人が立っていた。

「こんにちは。会員証のご提示をお願いします」
「僕達新規です」
「ではそれぞれこちらをご記入お願いします。それと身分証のご提示も」

ボード付きのシートと利用規約が渡される。意外にちゃんとしてるみたい。
簡単な説明を聞きながら記入して、免許と共に渡した。
トラブル防止の意味もあるんだろう。なんだかちょっとドキドキしてきた。
この扉の向こうでは、今セックスしている誰かがいるかもしれない訳だ。

「ご提示ありがとうございます。こちらが会員証です。おふたりとも講習会にも参加されますか?」
「はい」
「では入会料と利用料と講習料で2万円お願いします」

うわあ。結構する。

「いいよ遥香ちゃん」
「う、うん……」

非日常を買うっていう意識なのかな。
普段飲みに行ったり遊びに行ったりするのと全然違う。

「ありがとうございます。僕はスタッフの岩谷といいます。ではご案内しますね」

岩谷さんは朗らかに笑った後、扉の鍵を開けて先導した。
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