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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ


「ほら」

ラグの上にぺたんと座る私の脇にトレイが置かれた。
上にはコーヒーが淹れられたマグカップが2つ。それと濡れたタオル。

「目ぇ冷やせ。なけなしの二重が一重になるぞ」
「……こんな時に酷い」
「なんで俺が気ぃ遣わなきゃいけねぇんだよ。甘い言葉が欲しいなら他当たれ」

やっぱり甘くない。わかってはいたけど。でもいっそ楽ではある。
どかっと目の前に足を投げ出して座った瑛二さんは、無表情でマグカップに口を付ける。
私はタオルを手にして腫れぼったい目に当てた。
柔らかな冷たさが気持ちいい。

「話したきゃ勝手に話せ。教えることで俺も加担してるから多少の責任は感じてる」

ぶっきらぼうな言い方で、瑛二さんはただそこにいる。

「……わかってたみたいじゃない」
「ダメージの程度までは知らん」
「手首すら縛れなかった」
「ああそりゃ……キツいねぇ……」
「わかるの?」
「期待させるだけさせて突き落としたようなもんだろ」

人に言われた分その重みが増した。
自己嫌悪、半端じゃない。タオルを押さえる手に力が篭もる。

「……何にもわかんなかった」
「何が」
「何をしたらいいのか、どうされたいのか、知ろうともしてなかった」
「コミュニケーション不足だな。SMバーでもちゃんと聞いたりするぞ」
「わかったからって……多分出来ない」
「本能でわからない上にプレイ経験もないなら当然だ」

返される言葉は正論に聞こえるけど、瑛二さんのそれには芯を感じた。
本当にそうだと、知っているんだ。
きっと自分の経験で。

「で、何が一番悪かったと思う?」
「……興味本位でひとりで突っ走ったこと」
「理解が早いな。いいことだ」
「知らなかった。興味って、こんなに傷付けるんだね……」

すっかり温まったタオルを目から離して、裏に返す時にちらりと瑛二さんを見遣る。
怒ってるかと思ってたけど、意外なほど物柔らかな表情をしていた。
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