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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ
「……俺もあるよ」
「え?」
「あるがままでいたが故に興味で手を出して傷付け合ったり、あるべき姿を求めようとして駄目になったり」
「……そういう時はどうしてたの?」
「離れて振り返ってどうすればいいか思考し続けて自己を確立していくだけだ。繰り返しだよ、今もな」
私から見れば確立して見えるのに。今もだなんて。
「それでもまた超えていくしかない。座り込んだままでいいならどうしようもないが、変化を望もうとするなら立ち上がるほかない」
「うん……」
「お前はどうだ」
選ぼうとしている道はもしかしたら想像以上に果てしないのかもしれない。
だけど、私は、
「『向き合えるようになりたい』っつったなさっき」
そのためにここに来た。
「……自分にも人にも向き合いたい。柊平には出来なかったけど、きっと解放されたい人がいるから」
「緊縛で?」
「うん。縛られるカナちゃんを見た時思ったの。開花したみたいに綺麗だって」
あの高揚感は今思い出しても特別な感覚で、鮮やかに強烈に脳内を彩る。
ああして私を魅せたカナちゃんも、色んな想いとぶつかってきたのだろう。
「自分に向き合うのは思ってる以上にキツいぞ。自分の中の汚物も自分と認めないといけない瞬間が何度もある」
「思い知った。怖いけど……このままでいる方がずっと嫌だ」
「人間の欲望と向き合うってのだって生半可な物じゃない。何かにぶち当たるその度に無力感、挫折感、後悔、絶望だって味わう」
「それでもいい」
「覚悟してんだな?」
「覚悟してる」
「ならその上で聞く。どんな状況で、どんな関係性で、何をしたいのか、何をされたいのか」