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女王のレッスン
第3章 ■奉仕のセンセイ
柊平からの返事が来ないまま、土曜日が来た。
エレベータの扉が開くと岩谷さんがドアの前の椅子に座っていて、「ルカちゃん」と声が掛かる。
「こんにちは岩谷さん。瑛二さんと待ち合わせで……」
「聞いてるよ。もう来てるからどうぞ」
ドアを開けられ中に入った。時間前なのに、瑛二さんのそういう所はなんだか意外。
バッグは持ったままで靴を脱いでカーテンを抜ける。
瑛二さんはカウンターでバーテンダーと談笑していた。
破顔して笑うの、初めて見る。
バーテンダーが私に気付いて視線を止めると、瑛二さんもこちらを向いた。
「ルカ」
「こんにちは」
「いらっしゃい。何飲む?」
「じゃあアイスコーヒーを」
注文を告げて瑛二さんの隣に座る。
アシスタントになるとは言ったものの、具体的に何をするとかは全然不明。
説明でもしてくれるつもりなんだろうか。
「調子は?」
「調子?まあ、お陰様で上々と言うか」
「話とかしたのか?」
「連絡したけど返事なし。会社で顔は見るけど……目も合わせて来ない」
「……そうか」
瑛二さんは無表情で静かに言うと、目の前のアイスコーヒーのグラスに口を付けた。
私の前にも「どうぞ」と置かれ、小さく目礼を返す。
「気長に待つんだな」
「そのつもり」
「なんだ、しおらしい」
「そりゃ謙虚になるよ、何したかわかってるんだし」
フッと鼻で笑われて、少し口を尖らせコーヒーをひと口。
でも私の返答は、彼にとって満足のいく答えだったらしい。穏やかな顔のままで口を開いた。
「今日はお前に紹介したい女がいる」
「今度は女の人?」
「ああ、フェティッシュバーのオーナーで女王様してる」
「女王様?」