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女王のレッスン
第3章 ■奉仕のセンセイ
言われて頭に思い描くのは、やっぱりベタなあのイメージ。
女王様と瑛二さんの組み合わせがなんともちぐはぐで、疑問符が追加されていく。
「なんで女王様と……?」
「お前が真性のサドでもマゾでもないから」
「……真性?」
「持って生まれた才能みたいなもんだ。それがないならどうやって相手に奉仕するか学ばないとお前が彼氏にしたように立ち往生する」
「え、待って。話全然見えないんだけど。奉仕って私が?」
「あー……そういうのも触れてこないとわかんないもんか……」
瑛二さんは天井を見上げて考えあぐねている。
無意識のままに首をひねると、バーテンダーが私を見てくすりと笑い、「瑛二さん」と呼び掛けた。
「せめて順番通りに話さないと。分類とか」
「そうか?まあ……そうか。サドとマゾはざっくりと真性と奉仕に分類出来るんだよ。加虐や被虐で自分の快楽を得るか、相手に快楽を与えるかの違いだけど」
「みんな虐めたり虐められたりで喜んでるんじゃないの?」
「違うよ。現に俺は奉仕型サド。加虐で相手に快楽を与えるタイプ」
しゃあしゃあと言われて呆気に取られた。虐めて楽しんでいそうなのに。
「なんだその顔。お前も味わっただろうが」
「うっ……えっ……今そういうこと言うの……?」
「そういうことだよ。ちなみにタケはほぼ真性のSな。気を付けろ」
顎で差した先には朗らかに笑うバーテンダー。
ぎょっとしてふたりを見比べた。
「えぇー?」
「バーテンダーなんてよくやるよな、柄じゃねえくせに」
「ここからあの子はどうかな、この子は、って見て時々誘うのが好きなんだ。これは微々たる奉仕精神」
加虐に満ちた視線を一瞬だけ見せて、タケと呼ばれたその人は煙草に火を付ける。
本当に見た目じゃわからない。
「悪趣味なんだよ。っつーか煙草なら向こうで吸え。匂いつけてくとユイに文句言われる」
「ああ、そうか。はいはい」
タケさんをカウンターの端に追いやって、瑛二さんはまた私を向いた。