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女王のレッスン
第3章 ■奉仕のセンセイ
フィッティングルームに詰め込まれて与えられるがままに着替え、カーテンを開いた。
目の前の彼女は自分の見立てに満足そうに頷き、大きな姿見へ促す。
全体を見て、その違いに驚いた。バランスが整ってスタイルがよく見える。
「わあ……」
「雰囲気変わったと思わない?」
「思います。なんか、着てきた服より全然いい……」
「膝丈のタイトが似合うっていいわ。配色も綺麗」
変えたのはスカートだけなのに、鏡に映る自分がとても大人びてる。
「縦のラインを意識したら何でも似合うと思う。私より背もあるしパンツスタイルも得意なはずよ。シンプルでパリッとした素材なのも重要」
彼女の手には更に新しいバンガーが2つ。足元にはパンプス。その上店員さんがクラッチバッグを持ってきた。
「さあ、どんどん行きましょう」
再びフィッティングルームに服と一緒に押し込まれて呆気に取られる。
今度は白いコットンシャツにラベンダーのラップスカート。取り敢えず着るしかなさそうだ。
あの猛禽類と対等に渡り合えてる理由がわかった気がした。
結衣子さんも大概マイペースで人を巻き込んでいく。しかもそれを不快に感じさせない程度に。
一体いくつなんだろう?『瑛二くん』って呼ぶから歳も近い?でも34歳とかには見えないし。
着替え終えてカーテンを開ける。出た先にベージュのシンプルなパンプス。履けということを悟って足を入れた。
結衣子さんはやっぱりまた満足そうに頷いて、クラッチバッグを差し出す。
ベージュとホワイトのストライプのクラッチは、そのコーデにとても合っていた。
「完璧ね」
姿見越しに私を見て彼女は言う。
私も素直に頷きたくなる衝動に駆られた。そのくらい綺麗にまとまって見える。