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女王のレッスン
第3章 ■奉仕のセンセイ
「……結衣子さん、おいくつですか?」
「31よ。遥香ちゃんは25?」
「はい」
「じゃあ満くんの1つ下ね。ちなみに稜くんは29歳。お店の子はカナちゃん以外大体そのくらいね」
「ああ、そう言えばカナちゃんHPに載せてないんですね。最近入ったとかですか?」
「準備中なの。そっか、見たのなら私が本名でやってるのも知ってるのよね」
「そうそう、ちょっと驚きました。どうしてですか?」
「それ、瑛二くんのせい」
「え?」
「ここの前はSMバーにいて源氏名も持ってたんだけど、瑛二くん絶対呼ばないの。いっつも『ユイ』って。酷いでしょう?バレて意味なくなっちゃった」
口を尖らせて言う結衣子さんがなんだか可愛くて、思わず吹き出した。
同時にその感じがとても想像出来て余計におかしい。
「確かに瑛二さん貫きそう」
「そうなのよねぇ。もうしょうがないの」
溜息混じりに言ったその言い方が優しげで、昨日の瑛二さんを思い起こさせる。
「あの……」
……聞いてもいいだろうか。
「何?」
だけど、少しだけ怖い気もする。
勝手に暴くなと言った人がいるからってのはもちろんそうだけど、
瑛二さんに泣きついたあの日、瑛二さんがなんとなしに想っていた女の人ってもしかして、なんて。
とは言えこのふたりと向き合うのは、とても深い海の底に沈むような気も、して。
「……っ、いえ、なんでも――」
「瑛二くんと私のこと?」
グラスに口を付けて、結衣子さんは静かに目を伏せて笑う。
ああ、無理。とてもじゃないけどごまかせない。
完全に見透かされてる。
「……はい」
「そんなに怖がらなくて大丈夫よ。気付かない人の方が珍しいくらい」
「で……すよねぇ……」
「あの通り彼は取り繕わないし、私もそれは求めてない。周りもなんとなく察して聞かずにいるか、興味ないか、ライトに聞くかのどれかだし」
「あぁぁなんかもうすみません……」
きっとこのふたりの周りはどこか似たような人たちで構成されているんだろう。
堪えられずに両手で顔を覆った。