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女王のレッスン
第3章 ■奉仕のセンセイ
「そうだわ、瑛二くんの話したら思い出した。遥香ちゃん明日の祝日は予定あるの?」
「これといって。なんでですか?」
「縄をなめすの。煮出しと先週煮出した分の毛羽焼きと仕上げ。数があるから人手が欲しいのよね」
「前にそんなこと瑛二さん言ってた気がする……いいなぁ、行ってみたい」
「なら来なさいな。瑛二くんと稜くんも来るから」
「どこでですか?お店?」
「ちょっと郊外なのよ。瑛二くんに言っておくから車で迎えに来て貰うといいわ」
思い掛けない予定が次々と出来て、心が弾む。
自分の中も外も世界が拓けていく感覚。知らずにいれたのが不思議なほど。
瑛二さんが結衣子さんの言動を見ていろと言ったのもわかる気がする。
この人は人を惹き付ける。自分の持つ色んな武器を使って。
プレイになったらどんな女王様になるんだろう。それも見てみたい。お店に行ったらそういう格好をするのかな。
想像を巡らせてグラスを手にする。と、
「あれ、遥香ちゃん?」
聞き覚えのある声に振り返った。
「満さん!?」
「こないだはありがとね。それからどう?」
「あー、別れちゃいました……」
「そっか……まあそういうこともある。やや、これはご機嫌麗しゅう女王陛下」
わざとらしく頭を下げて結衣子さんにも挨拶してる。
陛下?満さんがそう言っているの、なんとなく聞き覚えがあるのは気のせい?
「満くん相変わらずチャラいわね」
「事実とは言え酷いなぁ。ねぇ遥香ちゃん」
「私に言われましても……」
「敬語なんて使うだけ損よぉ。調子乗るだけだから」
「ああそうそうそれは俺も思ってた。満くんて呼んでみて」
「み……満くん……?」
「いいねー。今日はふたりで何?縛るの?縛られるの?」
満くんに聞かれ、結衣子さんと顔を見合わせた。
話すために来たようなものだから、特に何もないよねって思ったけど
結衣子さんの目が妖しく光った、気がした。
「……そうね、それもありかな」
「……結衣子さん?」
「満くんにしては面白いこと言うじゃない」
ゆっくりとスツールから立ち上がり、彼女は笑顔を女王のそれに変えて
「私に縛られてみない?遥香ちゃん」
艶然と言い放った。