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女王のレッスン
第1章 ■最初のレッスン
なんだかクスクス笑われた。挙動不振、完全にバレてる。
「店内はこんな感じです。ご質問ありますか?」
私達は2人顔を見合わせた。私は首をひと振り。柊平が瞬きで頷く。
「ありません。ありがとうございました」
「では時間まで寛いでて下さい。でも縛る方はアルコールNGです」
寛ぐって、寛ぐ空間とはとても思えないのになんて無茶な。
柊平と顔を見合わせて、どうしようかと聞こうとした瞬間
「あ、カナちゃん」
岩谷さんの声に反応してそちらを向いた。
「岩さーん。このカッコ変じゃない?」
ちょっと高めの女の子の声。幼さの残る丸顔の子。可愛らしい雰囲気だけど、突っ込みどころが色々ある。
緩くアップにした髪に白いワイシャツ一枚でパンツの三角が裾からちらちら見える。っていうか乳首までぽっちりしてる。
声を大にして変だと言いたいけど、きっとここでは通用しない。
「いいと思うよ。エイジさんは?」
「スタッフルームで縄チェックしてる。講習会何組来るかわかるか聞いてこいって」
「今のところ2組。多分もう2組は来ると思うよ」
「あれぇ?見ない顔。ご新規さん?」
『カナちゃん』の目がこちらを向いた。
「そう。講習会にも参加するって」
「そうなんだぁ。この後縛られるカナでーす!楽しんでってねー!」
満面の笑みで手を振られ、思わず苦笑いして控えめに手を振り返す。
だけどそれを見たか見てないかというくらいの身軽さで、更衣室の方へ駆けていった。
縛られるってことはM……だよね?なんて明るくて人懐っこいんだろう。
ちらりと柊平を見上げる。鼻の下、伸びてるってば。
「ごめんね。あの子ここの近くのフェティッシュバーの子なんだけど、大体いつもあんな感じだから」
「げ、元気なんですね……」
「エイジさんに縛られるの久し振りだからテンション高いのかも。あ、エイジさんて緊縛ショーの後講習会もする人ね」
「はぁ……」
「今日のイベント告知の所に載せてるから興味あったら見るといいよ」
すっかり敬語が取れた岩谷さんを見送って、「取り敢えず時間までなんか飲もうか」と、柊平を見上げ私は告げた。
「そうだね」
同意を得て、カウンターへ向かう。さっきの3人がまだ喋っていた。