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女王のレッスン
第3章 ■奉仕のセンセイ
「あ……」
「支えるわ。膝立ちになれる?」
上半身を支えられ、膝立ちになった。
結衣子さんは私の前に回り、私の顔を両手で包んで上を向かせる。
肩にふわりと落ちてきた髪、ひと筋。びくんと身体が痙攣した。
「……綺麗よ。遥香ちゃん」
凄絶なその笑みに見下ろされて溜息が漏れた。
見続けるのが怖いとすら思うのに、目が全く離せない。
細い指先が顎を持ち上げて、微笑まれたのは一瞬。私の額に唇を落として、私は堪らず目を伏せた。
「……解きましょうか」
もう少しこのまま抱かれていたいとすら思う。
するするとまた抱くように縄が解かれて、最後の手首が解放されたら、身体が崩折れた。
最後の緊張の糸、解かれたみたいな。
「頑張ったわね。いらっしゃい」
頭が結衣子さんの膝の上に乗せられ、頭をその手が撫でていく。
肩でしている息。前みたいに酔いそうなふわふわ感はないけれど
身体は感じていたし、でも同時に眠ってしまいそうな落ち着きに包まれてもいて
これが彼女の言っていた『慈愛』というものだろうか。
心地よくて目を閉じる。すると、まばらに拍手が湧いて、やがて大きな波になった。
知らない内にギャラリーが集まっていたらしい。目を開けて見る。満くんもタケさんも手を叩いていた。
「……結衣子さん?」
「私達への拍手みたいよ?」
悪戯そうな目をして、結衣子さんはにっこりと笑った。