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毒蜜喰らわば
第10章 現れはじめる変化
*
心は完全に茂にのめり込んでいる。
それでも雅治との相変わらずな関係を、波風立てずに保っている。
久しぶりに雅治の部屋へ泊りに行くという約束を忘れられて、
彼とのセックスはお預けということになっても、特にガッカリとするわけでもなく
ちょっと脱力するくらいの感情のふり幅を、これじゃいけないなと思ったりもする。
でも・・
5年という長い月日を共に歩んでくると、愛とか恋とかいう
不確定な夢物語は頭の中からも心の中からも消えていく。
空気のような、当たり前の存在。
一緒に住んでいるわけでもないのに、寝室は別でもいいか的な気持ちと
表現したらおかしいだろうか。
「美智、今夜おまえんとこに泊まりに行ってもいいか?」
土曜の夕方映画を見終って、どこで食事をしようかと話し出すと、
めずらしく雅治が言い出したのだ。