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毒蜜喰らわば
第11章 蛍庭園が引き寄せるもの
慌てて茂の腕から手を話し、声のほうへ顔を向ける。
声の主が誰だか、すぐにはわからなかった。
が、その男の後ろから顔を出したもう一人の顔を見て、思い出した。

「あ・・堀内さん?里佳子の旦那さんも」

声をかけてきたのは、堀内雅斗と里佳子の夫の進だった。

「ああビックリした。こんなとこでお会いするなんて。
 進さん、先日はおじゃましまして、ありがとうございました。
 それにしてもよくわかりましたね、堀内さん。一度しかお会いしてないのに」

はっきり言って、雅斗の存在自体は濃く印象に残っているが、
顏のほうはあまり覚えていない。
進の顔を見て思い出したくらいなのだ。

「コイツ、すごい記憶力でしょ?っていうか目も良いし。
 池の向こう側から美智さんのこと見つけてさ」

手に下げた袋ごと池の向こうを進は指し示した。
紙袋にはホテルの名前が入っている。
その荷物といい彼らの服装といい、これはどう見ても結婚式の帰りらしい。
それにしてもよく私のことを見つけたものだ。
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