この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
毒蜜喰らわば
第2章 彼と私
私、稲村美智、31歳。
広告ポスターなどの印刷を請け負う小規模会社でOLをしている。
ものすごい可はないけれどものすごい不可もなく、人間関係は良い職場で、
おかげですっかり腰を落ち着けてしまって、ある意味無駄に年月を重ねている。
そしてもう一つ、無駄に年月を重ねているのが
恋人・三浦雅治との恋愛期間だ。
雅治とはもう5年も付き合っている。
たいていのカップルは3年も付き合えば結婚へと話が進んでいくのだろうが、
私達は特に焦ることも騒ぐこともなく、
一緒にいればそれで良し的なムードにすっかり包まれてしまっていた。
雅治と出会ったのはフードフェス。
私自身は食べ物への特別な興味とか執着とかはないのだけれど、
咲枝ともう一人仲の良い里佳子が食べるのが大好き。
特に外国のフードフェスには目がない2人にひっぱっていかれたのが
東南アジアの料理フェスだった。
そこで数少ないテーブル席に一緒にどうぞと声をかけてくれたのが、
雅治達だった。