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毒蜜喰らわば
第12章 イタコの孫が見通した、愛・・
女性たちで賑わう本殿から逸れ、社務所の裏手に回る雅斗についていく。
社務所の建物からは20メートルくらい離れた。
もうここには何もない、と思っていたら、
名前はわからないが背の低い木が円を描くようにして植わっている中に、
小さな祠があった。
え?こんなところに?と首をかしげた瞬間、私はあっと声をあげた。
「美智、どうしたの?」
身動きしない私の肩に里佳子がそっと手を添えた。
「これ・・私見た事がある・・」
「え?だって、咲枝と一緒にお参りに来たんでしょ?
その時見たんならそんなに驚くことないんじゃないの?」
「いや、ここは人目にはほとんど触れない場所なんだよ」
里佳子の背後で祠を見つめる進の声は重たく聞こえる。
その声を聞いて、私は雅斗を見た。
きっと彼の口からこの祠にまつわる話が聞けるはずだと、雅斗の顔を凝視した。
私の視線に気づいた雅斗が、ゆっくりと頷いてから話を始めた。
「まずはこの恋願神社の由来から話すね」
雅斗は小さな祠の前に立って一礼した。