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第3章 夢から繋がる出会い

「今度私がエリア移動になりまして、御社の担当地区から離れることになってしまって。
　他の地区から移動してきたこちらの楠木が新しい担当者となりますので
　ご挨拶もかねて本日一緒に伺わせていただきました」

「まあ、そうなんですか」

川島さんは話し終ると同時に新しい担当者と紹介した男性に顔を向ける。
つられて私も彼の顔を見る。
楠木という男と目があった瞬間、なんとも言えない不安のような怖さのような、
それでいて嬉しいような気持ちが私の心に猛烈な圧をかけてきた。

なんだろう、この・・不思議な感覚は・・・

「楠木茂です。よろしくお願いいたします」

両腕を脇にピシッとつけてお辞儀をしてから私に名刺を差し出した。

「頂戴します。クスノキシゲルさん・・
　わたくし総務の稲村と申します。今名刺が手元になくて・・」

まさかこんな展開になるとは思わなかったから、
いつものように印鑑しか手にしていない。

私にむかって楠木さんは、大丈夫です、とニコッと笑いかけてきた。