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毒蜜喰らわば
第5章 偶然は必然の前ぶれ
茂は友人たちと金曜の夜を楽しむ時間があるのに、
自分は一人であてもなく街を彷徨う。
急に引け目を感じて足元に視線を落とした。
「だったらお茶でもしませんか?」
「えっ?でも・・」
「ごめんなさい、実は時間を持て余していて・・
どういう言い方をしても時間つぶしに付き合ってもらう事に
変わりなくて心苦しいんですけど・・
それでもお誘いしたくて、誘いました、お茶。だめですか?」
茂の正直さが伝わってくる。
相手に好く想われないかもしれないのに、まっすぐに伝えてくる。
企みも何もないその純粋さに、私のほうがよっぽど邪気にまみれていたなと、
肩をすくめてこっそり笑った。
「お付き合いしますよ、時間つぶしに。どうせ暇ですから」
少し毒づいてやった。
もっと気が楽になれるから。
「じゃあ、私がお気に入りのコーヒー専門店でもいいですか?」
「ええ、もちろん。僕の勝手につきあっていただけるんですから、
どこへでもお供しますよ。どの辺にあるんですか?」
早々に茂は足を動かす。
私の横に並んで人の流れに逆らって歩く。
まだまだ日が高いですね、と空を見上げる茂につられて私も空を見る。
透き通るような青い空に浮かぶ白い雲とケヤキ並木の中で必死に泣き続ける蝉の声。
夏の夕暮はまだまだ明るく街を包む。
自分は一人であてもなく街を彷徨う。
急に引け目を感じて足元に視線を落とした。
「だったらお茶でもしませんか?」
「えっ?でも・・」
「ごめんなさい、実は時間を持て余していて・・
どういう言い方をしても時間つぶしに付き合ってもらう事に
変わりなくて心苦しいんですけど・・
それでもお誘いしたくて、誘いました、お茶。だめですか?」
茂の正直さが伝わってくる。
相手に好く想われないかもしれないのに、まっすぐに伝えてくる。
企みも何もないその純粋さに、私のほうがよっぽど邪気にまみれていたなと、
肩をすくめてこっそり笑った。
「お付き合いしますよ、時間つぶしに。どうせ暇ですから」
少し毒づいてやった。
もっと気が楽になれるから。
「じゃあ、私がお気に入りのコーヒー専門店でもいいですか?」
「ええ、もちろん。僕の勝手につきあっていただけるんですから、
どこへでもお供しますよ。どの辺にあるんですか?」
早々に茂は足を動かす。
私の横に並んで人の流れに逆らって歩く。
まだまだ日が高いですね、と空を見上げる茂につられて私も空を見る。
透き通るような青い空に浮かぶ白い雲とケヤキ並木の中で必死に泣き続ける蝉の声。
夏の夕暮はまだまだ明るく街を包む。