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毒蜜喰らわば
第8章 禁断の扉が開いた・・
*
六本木駅から蛍庭園の方向に向かって歩き出そうとしてふと足が止まった。
そう言えば、と後ろを振り返る。
交差点の向こう側、外苑東通りのずっと向こう側に、あの恋願神社がある。
幹線道路やら高層ビルやらに囲まれた中にぽつりとある鎮守の森。
恋愛成就の御利益を求めて咲枝と2人でお参りした、あの恋願神社。
私は雅治との穏やかな日々をお願いしたけど、別の御利益も感じている。
茂との出会いだ。
平坦な恋人との関係に風穴をあけた、楠木茂。
お互い恋人がいる身であるが、魅かれている事は間違いない。
雅治との関係を断ち切って茂と突き進んでいきたいと
思いきれるまでの覚悟はないが、今は彼と過ごしたいと強く願っている。
恋願神社のほうへ向かって小さく頭をさげ、
再び雑踏の中を蛍庭園へと歩き出した。