この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ヒ ミ ツ に し よ う ね ?
第1章 瀬ノ尾まりあ
勇気が
とても真剣な眼差しで
まりあを見たから。
まりあも背筋を正して
彼の名前を
呼んだ。
「でも、お前が大人になるまで、俺はやっぱり待つことにします。俺は教師を続けたいし、お前はまだ中学生だ。卒業したって高校生なんだぞ」
勇気がそう言うと
まりあは泣きそうになる。
「付き合えないってこと?」
「そうだ」
「先生……やだ……そんなの」
「だから。この指輪をやるよ。お前が大人になるまで、俺、待ってるから」
それは
勇気の誓いの指輪
ほんとうにまりあを好きだから
出した結論。
「でも、きっと、お前が大人になる頃には、俺のことなんか忘れてるよな」
勇気は
どこか寂しそうに言った。
「わかりました」
まりあは
勇気を
見上げた。
「私、ずっと考えてたことがあるんです」
まりあは
ずっと心の中にあった
気持ちを
勇気に告げた。
私のやってみたかったこと。
ピアニストも
科学者も
小説家も
お花屋さんも
なってみたかったけど。
1番やってみたかったのは……。
「私、アイドルになります。そしたら、大人になるまで、私、他の誰の物にもならない。勇気先生のものにも。そしたらきっと先生のこと、忘れたりなんかしない。先生も、安心してくれる?」