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第2章 アラン模様の意味

「鮫島さんはきっとこのマフラーを編んでも、プレゼントする人がいないって思ってるんじゃない？なら、自分のために趣味として編むか、俺にこのマフラーをちょうだい。」

「自分のために編みます。」

「早いな」


　藤田さんはそう言いながら、優しい笑顔で私を見ていた。まだ２回しか会ったことがないのに、俺のために編んでというようなことを言って、いったい私をどうしたいんだろう。でも、今日一日藤田さんと関わって、嫌じゃないと感じる私もいた。


「藤田さんも編み物と一緒で、温かいですよ。今日は色々とありがとうございました。」


　一人だったらまだうじうじと公園にいたか、家に帰っても何もできずに明日を迎えていたと思う。藤田さんに感謝しつつ、もういい時間になるので帰ろうと思った。


「あ、ちょっと待って。編み物、見せてくれる？アラン難しいでしょ」

　ニヤッとした表情を見せて、思わずわざと初心者なのに勧めたでしょ！と言ってしまった。
　それに大笑いした後、一瞬でマフラーを見て、ちょっと待ってて、と言い、また店の奥に入っていった。