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FUJITAYA
第3章 手作りの気持ち


「最近、要の新作が売れ出してね。それはきっと鮫島さんのおかげかな。」

「えっ!」

 次は私が驚く番だった。先生がいつもの席に座ってニヤニヤしながら私を見ている。こういう表情の仕方はそっくりだ。

「新作って、服を作っているんですか?」

「服だけでなく、小物もあの子の手作りさ。ここに置いてあるほとんどのものはあの子が作っているよ」

「えぇ!?てっきり先生が作っていると思っていました…」

「私も何個か手伝ったりしているけどね。」

 嬉しそうに話す先生を見ながら、店の中のニットを手に取ったりして、彼が作っているものに触れた。

「あの子は編み物を通して、人に温もりをあげられる子さ。今までもたくさんの子に温もりを感じてもらいたいって言ってあの子なりに頑張ってきたけど、鮫島さんと出会ってからはあの子自身の励みにもなっているんだろう。今は才能が開花したなんて言われてるもんだから。ハンドメイドに手を出したことのない人だって、要が作ったそれを見れば無意識に温もりを感じ取って、その温もりをほしいと思う。おかげで、この店を続けることができているね。」


 先生の話を聞き、実際に彼の手から作られたものに触れ、心が温まるはずなのに、どこか切なくなるような気持ちになった。それは一体どういう感情からなのかはまだ分からなかった。





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