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FUJITAYA
第4章 好きになってしまう
部屋で座り込み、何もすることなく、成本さんの会話を思い出していた。
あぁ、私こんな人が好きだったんだと自分自身に呆れたり
成本さんは私のことをあんな風に思っていたんだと、悲しくなったり
一番許せなかったのは、手作りのものを貶すような言い方をしていたことで
私はいいけど、あの人のことを悪く言うことは許さない……って、藤田さんのことが頭の中に浮かんだ。藤田さんが手作りのものを通して頑張っていることを知っているからこそ、貶す成本さんを許せなかった。
でも、それら全部を成本さんに言い返すことができない小さな私にも腹が立つ。
結局、私一人では何もできなくて、そんな自分にも嫌気がさしてくる。
こんなに感情を持て余しているのに、なぜか涙が出てこないし、吐き出したいものがあるはずなのに、上手く自分でコントロールすることができなくて、ただただ時間が過ぎていった。
長い間、バイブレーションが続いているなと気付いた時には、真っ暗だった。部屋の電気もつけずに、少し気を失っていたらしい。
カバンから携帯を出して見てみると、同僚からの電話で、心配してくれているようだった。無理せず明日も休んでもいいからと、わざわざ電話をかけてくれて、自分にはこういう仲間もいてくれてたんだと改めて気付き、電話を切ると、着信履歴が他にも何件かあった。