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FUJITAYA
第4章 好きになってしまう


 そこにあったのは、藤田さんという文字だった。何かあったのかと思い、折り返し電話すると、少し低い藤田さんの声が聞こえた。

「電話取れずにすみません、何かありましたか?」

「いや、特に何もないんだけど…、なんか、ちょっと声聞けないかなと思って…」

「…?」


 少し言いよどんでいる藤田さんは珍しい。一緒にご飯に行った後に気まずくなるかなと思ってても、普通に話しかけてくれていたので、何かあったのかと心配になる。


「何か問題があったんですか?」

「俺はないよ、鮫島さんは?」

「…少しだけ…ちょっと、ね…」

「そっか」

 藤田さんの落ち着いた優しい声にすっかり気が緩んでしまっていて、嘘をつくことができなかった。



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