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FUJITAYA
第1章 マフラーのプレゼント
そのセフレでよかったらを聞いていないフリをして、私はその日に成本さんに抱かれた。
ここちゃんという婚約者がいてるからと言って、いつかは私に振り向いてくれる、だって親が無理やりに決めた婚約だからと、良い様に解釈して。
セフレなんかがしないようなお弁当を作ったり、掃除したり、とにかく成本さんと関われる時間を増やせるように頑張った。
成本さんの都合の良い女になろうとも。ひどく壊れるような成本さんの抱き方にも、きっと私だけと思って。
私はもともと色んなことを我慢できるような人間ではなかった。
だから、成本さんと過ごす、ごくわずかな時間、それもだんだんと疲れてしまっていた。
それでも成本さんに軽く依存してしまった私はそこから抜け出せず、少し肌寒くなった時に、成本さんのクリスマスプレゼントはマフラーがいいかな、なんて考えた。編み物もできるような女はすごいかも、なんて思った時に、会社の近くの毛糸屋さんに行った。
それがFUJITAYAだった。