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FUJITAYA
第1章 マフラーのプレゼント

 FUJITAYAはショッピングモールから外れた商店街の入り口近くにある。

 時間をつぶしたいと思った時に、その商店街に入ったことがあった。商店街の店の並びで、一番目を惹いたのがFUJITAYAの前に置かれた数体のマネキンだった。それぞれに着せられた色とりどりのニット、全て手編みらしい。一見どこにでもありそうなデザインだが、そこには何か温かさを持っているような、そんな気がした。連なっている数体のマネキンに驚かされながらも、その首からかけられた「あなたの思うモノを作ることができるのは、ただあなた一人だけ。」という言葉がもっと私をFUJITAYAに惹きつけたのだった。



 ショッピングモールとは雰囲気が少し違って、初めて入るのに少し緊張してしまった。

「いらっしゃいませ。」

 振り向けば、20代後半ぐらいの男性だった。同年代の人が商店街で働いているということに少し驚きながら、頭を下げた。

「なにかお探しですか?」

「マフラーを…編みたいなって…」

 笑顔で聞いてくれるのはありがたいが、いきなりだと緊張してしまい、消え入るような声で話してしまった。
 それでもその笑顔を崩さず、毛糸の種類や針のことなど、初心者の私に分かりやすく教えてくれた。



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