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FUJITAYA
第1章 マフラーのプレゼント


「彼氏さんにクリスマスプレゼントですか?」

 カシミアのグレーか黒かで迷っていた時に、そう話しかけられた。

「……はい。」

 成本さんは彼氏ではないけど、初対面の人に変に悟られてはいけない。なのに、返事をするのに少しためらってしまった。

「黒も人気ですけど、僕はグレーの方が好きですよ。なんだか温かさが感じられやすくてね。」

 店員さんは本当にいろいろ教えてくれた。でも、最後の方は成本さんとの関係のことが頭の中から離れなくて、あまり聞くことができなかった。自分では決めきれられず、毛糸はグレーにした。




「この店ね、僕の祖母が編み物の先生をしているんです。なんで、分からないことがあれば、遠慮せずにまた来てくださいね。祖母がいない時も、編み図を読める程度なら僕もできますんで、ね?」

「はい…、助かります。」

 毛糸と棒針、本を買った。初心者丸出しで少し恥ずかしかったが、教えてくれる先生がいてるのは有り難いなぁと思いながら店を出た。



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