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第5章 送りたい相手

　しかし、私が想像していた要さんとは少し違っていた。


「もう分かったから。早く座れ、あと帰ってきただけで走るな。」


　その言い方は優しいとはかけ離れたぶっきらぼうな感じだった。でも、先生や要さんは大島さんにそういう言い方をできるってことが、また少し羨ましくて、いいなと思った。


「おーい、美里ちゃん」

「へっ！？」


　気付けば目の前に要さんがいて、手を振りながら、呼んでも全然気づいてなかったよと言っていた。

　私の目の前にいる要さんは、いつも私が見る要さんで、笑顔で、優しくて…
　相変わらず下の名前で呼んでくれて、嬉しいんだけど…


　それですごく嬉しんだけど、なんだか私にも気兼ねなく接してほしいと思った。